フード・ドリンクチケット制に関する考察
本稿は過去に掲載していたものを、サーバー移管に伴い、転載したものです。
日付は移管日です。
当時の公開日は2013/07/08。最終更新日は2013/08/25でした。
▼自己紹介
ライヴハウスが大好きだ。
あんなに素敵な場所はそうそうないと思っている。
こういうことを言うと嫌がる人もいるように思うが。
ライヴハウスでの多くの出会いが、今の自分の方向性を決めてくれたように思う。
それぐらい、ライヴハウスには多くの才能が集まっているし、影響を与えてくれる人たちがいる。
しかしどうだろう。
ライヴハウス自体はあまり元気でないように感じる。
ライヴハウスに行くようになってから数年しか経っていないが、どうにも元気がないと感じてしまった。
その理由は単純で。
ライヴハウス(イベント時間)内ではそれほどお金が回っていないように感じたからだ。
お金はよく、経済活動の血液という表現をされる。
血の巡りが悪ければ、十分な酸素だって行き届かない。
不健康に感じてしまうのは当然な気がした。
そこで、私なりにライヴハウスでお金が循環させる方法を考えた。
血の巡りを良くし、健康的になる方法だ。
それが「フード&ドリンクチケット」である。
▼ドリンクチケットの短所
ライヴハウスでは、チケット代とは別にドリンクチャージというものを要求される。
だいたいのライヴハウスは、入場時にドリンクチケット(引換券)を1枚(相場は500円)買う必要がある。
このチケットは、アルコール、ソフトドリンク問わず、1杯と交換可能。
お店によっては、高いお酒などは交換できないこともある。
これに関してはいろいろな短所があると言われていた。
一番言われているのは、アルコールを飲まない人、飲めない人にとって不平等であるということだ。
ドリンクチケットを使った後は現金で飲み物を購入するのだが、だいたいアルコールが500円程度で、ソフトドリンクは3-400円という設定が多い。
つまり、アルコールを飲まない人にとっては、出費が増える。
それ以外にも、ライヴハウスでお金が回らない原因がここにあるように感じた。
ドリンクチケットは、引換券だ。
そのため、これを使ったとしても、ライヴハウス内でお金を使ったという気持ちにはならない。
お金を使ってないのだから、「ドリンクのおかわりを買おう」という気持ちになるわけがなく、まず「お金を使うか使わない」かの判断をする。
ライヴハウスでお金を使うためのはじめの一歩を踏み出してないので、フードも買いにくいし、物販にも手を出しにくい。
そこで、これを改善しようと考えた。
▼実施対象企画
▼解決方法
今回企画では「ドリンクチケット」を撤廃した。
代わりに「フード&ドリンクチケット」を導入した。
これは、ドリンクだけでなくフードにも使える。そして、バンドの物販にも使えるようにした。
つまり、このイベントの中では、「ほぼお金」として利用できる。
もちろん、企画が終われば価値がなくなるので、イベント中に使うほかない。
要するに。
この企画のために、フード&ドリンクチケット代分のお金を使うよう強制している。
ある意味では、とても暴力的な方法だ。
この暴力的な方法を、そう受け取られないよう、バランスをとりつつ実現した。
今回フード&ドリンクチケットは、100円券8枚、つまり800円分とした。
四谷OUTBREAK!の通常のドリンクチケットは500円なので、徴収する金額は300円高いことになる。
その分、入場料は1500円と低めに設定し、合計2300円とした。(前売り/当日共に同じ料金)
四谷OUTBREAK!は通常、2杯目以降ビールが400円なので、2杯分の値段となる。
このチケットでは何杯目か確認しようがないので、1杯目から400円とした。
また、今回のライヴでは「金曜の夜、ライヴハウスに飲みに来てくれ」という言葉でお客様を呼んだ。
その気持ちで来てくれた人も多かったこともあり、お酒とちょっとしたおつまみで800円を超えることは想定済みだった。
▼評判
結果はおおむね好評。
「フード&ドリンクチケットは良かった!またやってくれ」との意見も多数伺う。
話によると、ドリンクの売り上げも良かったそうだ。
物販に関しては、そもそも物販の種類、量が多くなかったため、結論を出すのは早計だろう。
今回実施した体感を基に考えると、どうやら実験は成功したように感じた。
▼メリット・デメリット
- お客様にとって
- メリット
- アルコールを飲めない人にとっても、損なくお金を使える
- 1杯目、2杯目にかかわらず、同じ値段でドリンクが買える
- ドリンクを買わないという選択肢を取れる
- デメリット
- ドリンクチケットよりも高い値段を取られる
- メリット
- バンドにとって
- メリット
- 物販を買ってもらう可能性が増える
- デメリット
- イベント終了後にチケットをお金に引き換える手間がある
- メリット
- ライヴハウスにとって
- メリット
- ドリンクチケットよりもお金を使ってもらいやすい
- デメリット
- ドリンク代がゼロになる可能性もある
- メリット
▼実施するにあたっての留意点
- フード&ドリンクチケットの値段設定は高すぎない、安すぎないものにする必要がある
- レコ発企画などでは、CD購入に集中してしまう危険性が高いので、控えるべき
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