お菓子工場と「さらにおいしくなりました」
あるところに、お菓子工場があった。
この工場では、15時になるとおやつとして工場で生産したお菓子が配られる。
この工場の従業員は、勤続平均25年。
お菓子の味にも十分に慣れ親しんでいる。
ある時、経営陣の判断によってお菓子の味付けが変えられた。
現代の味覚に合うように変更されたのだ。
味付けの変更について、工場の従業員は「自分には関係ないこと」だと思っていた。
しかし、おやつに出されたお菓子を食べて愕然とした。
今まで食べてきた味とあまりに違うからだ。
甘すぎて、喉を通らない。
経営陣に直訴することもできず。
「こんなにまずいものは誰も買わない」と口々に言い合うことしかできなかった。
***
従業員は「お菓子が自分の口に合うか」「慣れた味に近いか」で判断している。
それはまったく悪いことではない。
経営陣は時代を読んで行動を起こした。
その結果、従業員の賛同は得られていない。
これもまた、まったく悪いことではない。
***
なぜ、突然、こんな物語を書いたのか?
それは、ゆとり世代の話を聞いたから。
ものすごく揶揄されているなぁと感じていたのと。
「日本を変えるのはゆとり世代かもしれない」という意見に触れたから。
教育という味付けが変更されて、いよいよ販売。
つまり、社会に出てきたという状況。
世間的にも「味が変わった」ということが十分に知れ渡ったよなと。
今まで良いと思っていたものがなくなったかもしれない。
でも、それと。売れるか?世間に好まれるか?はまた別の話。
「ゆとり世代」という言葉を使って揶揄して鬱憤を晴らしていたら。
いつの間にか時代に取り残されていた、なんてこともあるかもしれない。
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